青いシェアバイクでニューヨークを走る

 ニューヨーク市内を歩いていると綺麗に整列された青い自転車をよく目にします。この自転車、Citi bike2013年に始まったドック型の自転車シェアプログラムで、近年ではコロナパンデミックの影響もあり利用者が増え、全体で20,000台の自転車と1,300以上のドッキングステーションを完備、地域はマンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、ジャージーシティまで拡大しています。

 すっかり秋の気候になった近頃、ずっと気になっていたこのciti bikeをお試し感覚で数回使用した結果、とても気に入り、年間メンバーシップを購入しました。そのシェア自転車の経験を紹介したいと思います。

 初めて使用する際に、まずはciti bike専用アプリをスマートフォンにダウンロードします。配車アプリのLyftに既に登録してあれば、個人情報を再度入力する必要がなく直ぐ使用開始できます。料金は、1回の利用(シングルライド)の場合、30分間で$3.530分を超えた時は1分ごとに$0.18が加算されます。年間メンバーシップは$179(税込$194.88)で、1回ごとに45分間の走行が可能になります。月$15という宣伝文句がありますが、月割りした金額を示しているだけで、月ごとの契約プランはありません。料金形態や利用条件、サービスなどは頻繁にアップデートされることが予想されます。

 専用アプリを開くと、地図上に全てのドッキングステーションの位置と、各ステーションの使用可能な自転車の台数が実況表示されるので非常にわかりやすく、また市内のステーションの多さに驚きます。帰宅時間帯になると大型駅の周辺や、市内から郊外へ渡る橋周辺の自転車はほとんど出払ってしまうことから利用者の多さが見受けられます。

 ステーションで乗る自転車を選んだら、アプリからQRコードのカメラを起動して、ハンドルの中央にプリントされているQRコードを読み取ると自転車のロックが解除され、使用可能になると同時にアプリで時間のカウントが始まります。サドルの高さ調節も簡単にでき、走行中のギアチェンジも細かく効き、暗くなると自動でライトが点くので安心です。目的地に着いたら、近くのステーションでドックに自転車を押し込み、ランプが緑に点灯したことを確認し、アプリが走行終了となってからその場を離れます。料金は登録のカードで自動決済され、アプリにライドヒストリーが記録されます。

 citi bikeの手軽さとニューヨークの街を走る爽快感がとても気に入っていますが、同時に事故に気を付けなければと強く感じます。車のようなスピードで真横を通り過ぎる自転車も少なく無く、まっすぐ走ることに集中しないと、よろけてしまった自転車と後ろから猛スピードで追い越してくる自転車との衝突事故なども起きています。曲がるときのハンドサインや、ヘルメット装着などの安全対策は今後の課題でしょう。

 最近、citi bikeQRコード詐欺盗難事件が後を絶たないとのニュースが報道されました。自転車にプリントされているQRコードを入れ替えて、他人がロック解除した自転車を乗り去ってしまう犯行です。また、走行中にちょっとお店に寄りたいと思い、少しだけ路上に止めておいたらすぐに盗まれ、その間も使用時間はカウントされ続け、高額の使用料金だけではなく、紛失による罰金を請求されるなどのトラブルも発生しているようです。

 ニューヨークでは、日本では見かけない乗り物の数々に気付きます。電動スクーターが上り坂を颯爽と走ったり、電動ユニサイクルという一つのタイヤにまたがって、直立で走行している難しそうな乗り物もあります。また、デリバリーが増えたことから飲食店の多い通りでは、注文が入るのを待っている自転車ライダーもたくさん目にします。

 秋風の気持ちいいこの季節に、目的地へ移動しながら軽い運動にもなる自転車はとてもおすすめです。まずは気軽にシングルライドから、シェア自転車でニューヨークの街を巡ってみてはいかがでしょうか。


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