コロナとヤンキース!
コロナ感染症は今や私たちの生活の様々な分野に大きな影響を与えています。医療体制は勿論、毎日の生活様式、仕事の仕方、経済活動、教育現場、コミュニケーションの取り方等々、枚挙に暇がありませんが、世の中が一変してしまったと言っても過言ではないでしょう。スポーツの世界も例外ではありません。日本にとっては待ちに待った東京オリンピックが一年延期というショッキングな決断が下されましたが、アメリカでは例年4月にシーズンが始まるメジャーリーグの開幕が大幅に遅れ、ようやく7月23日に無観客で始まり、しかも年間60試合という異例の事態となりました。
メジャーリーグは通常年間162試合行われますが、今年の60試合はそれより100試合以上少なく、更に無観客、ファンにとってはとても残念な歴史的シーズンとなりそうです。米国のプロ野球は1876年のナショナルリーグ発足に始まり、1901年にアメリカンリーグとの2リーグ制となってから現在のメジャーリーグの形をとっています。年間60試合というのはナショナルリーグ時代の1877−78年の2年間ありましたが、それ以降はなく、スペイン風邪が大流行した1918年でも年間123〜129試合が行われました。翌1919年は第一次世界大戦に従軍した選手の帰還を待つため開幕が遅れたものの、年間140試合が行われました。歴史的な試合数を見ても、今年の60試合は異例なものと言えます。
現在では大谷翔平選手、田中将大選手、ダルビッシュ有選手など多くの日本人選手が活躍していますが、日本人に馴染みのあるチームはやはりニューヨークを本拠地とするヤンキースではないでしょうか。ヤンキースはアメリカンリーグの発足と同じ1901年に創設され、120年の歴史があります。ブロンクスにあるヤンキースタジアムは1923年に旧施設が完成、その老朽化から2001年当時のジュリアーニNY市長が新球場を建設する計画を発表。市長の交替などで紆余曲折はありましたが、2006年に起工、15億ドルの建設費をかけて、2009年4月に現在の球場が開場しました。このヤンキースタジアムは外野フェンスが左右非対称、極端に深い左中間に比べて、右翼側が狭くなっており、加えて本塁から右翼上空へと吹き抜ける風が追い風となって左打者に有利、ホームランも他球場に比べて出やすい特徴があります。
さてこの歴史あるヤンキースタジアムが今年のコロナ感染予防にいち早く対応しています。前々回のニュースレターでもご案内しました建築基準WELL Building Standardは、コロナ感染防止のための対策と管理
を評価するWELL Health-Safety Ratingという新基準を6月29日に発表しました。この新基準は、世界保健機関(WHO)、米国疾病予防管理センター(CDC)等のガイダンスを基に以下の領域を評価する内容となっています。
8月26日、WELL 基準の運営をしているIWBI (International WELL Building Institute)は、ヤンキースタジアムがこのWELL Health-Safety Ratingの厳しい基準をスポーツ& エンターテイメント施設として世界で初めてクリアしたと発表しました。同スタジアムは、選手、スタッフ、従業員へのコロナ対策、更に観客が入場を許された時に備えての観客のコロナ対策も基準をクリアしたとのことです。コロナを気にせず、家族や友達と一緒に球場に行って、大声で好きなチームを応援できる日が一日も早く来ることを願ってやみません。
スタジアムで観戦できるようになったら食べたいポーボーイサンドイッチとミルクシェイク。
Photo Credit: Corey Sipkin
『NY建築物あれこれ』その2
■フラットアイロン
5番街と23丁目の交差点にブロードウェイが斜めに交わる三角形の土地に建つフラットアイロンビルは建築家ダニエル・バーンハムとフレデリック・ディンケルバーグによる設計で、着工からわずか1年という驚きの工期で1902年6月に完成しました。当時のニューヨーク市で最も高いビルで、竣工当時は20階建てでしたが3年後に屋上ペントハウスを増築し、現在は22階建てとなっています。
ビルの正式名称は初代オーナーの会社名に因んでフラー・ビルディングでしたが、そう呼ぶのはフーラー社の社員のみ、近所の人がつけたニックネーム「フラットアイロン」として知られるようになりました。
今でこそNYのシンボル的存在として人気が高いフラットアイロンですが、「三角形と高層階の構造によりビルが倒壊する」「ビルの存在により交差点に危険な風洞が発生しビルが倒れる」と建築批評家に言われたり、NYトリュビューン紙には「みみっちいパイの一切れ」と書かれるなど、当初の評判は芳しくなかったようです。反対に写真家のエドワード・スタイケンやアルフレッド・スティーグリッツ、フランス人画家のアルベール・グレーズなどアーティストには愛され、数多くの作品に残されています。
オリジナル・フラットアイロンのエレベーターは水圧式で1階から20階まで行くのに10分(!)ほどかかったとか。現在でも地下2階に水圧エレベーターに使用した巨大タンクが、そして地下3階には石炭式の巨大ボイラー3機が残っているそうです。また1911年には地下1階にバー・レストランがオープンし、ハーレムのジャズバンドが演奏して賑わいましたが、1920年に禁酒法が施工されたのに伴い閉店となりました。
最寄りの地下鉄23丁目駅のプラットホームに帽子のモザイク絵があります。これはフラットアイロンのせいで巻き起こる強風で帽子を飛ばされる人が続出したことへのオマージュだとか。
フラットアイロンは2017年から大規模な改装工事に取り掛かっています。工事用のネットを張るなら、広告で一儲けしようと考えたオーナーは23丁目に面したビル北面に15階分の長さのバナー広告(H&M社)を垂らしたものの、これが大変な不評で苦情殺到、最終的にNY市が景観を害する違反として警告レターを発行し、バナー広告は外されました。いかにフラットアイロンが市民に愛されているのかが分かるエピソードですね。
NYたべもの散歩 その1
■Uncle Tetsu's
30年前に福岡県博多で生まれた「てつおじさんのチーズケーキ」。素材の味を大切にした素朴な味わいのチーズケーキはやがて大ブームとなり、一時は日本各地に40数店舗を展開するほどの人気ぶりでした。ブームが去り、各地の支店を徐々に閉店していた2009年に海外第一号店となる台湾店をオープンしたところ、これが大成功。てつおじさんのチーズケーキの噂はSNSを通じて世界中に広まり、海外から出店勧誘が殺到し、「Uncle Tetsu's」としてオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、サウジアラビアなどに展開、今度は海外でブームになりました。これまで米国には西海岸にしかなかった「Uncle
Tetsu's」ですが、遂にニューヨークにもやってきました!場所は41丁目6番街と7番街の中ほど、ブライアントパークや紀伊國屋書店の近くです。
てつおじさんのチーズケーキをひとことで言うなら「濃厚まろやかでふわふわ!」。とにかくふわふわで軽い触感なのに濃厚でコクがある味わいで、一口食べたらもう止まりません。添加物は一切使用せず、材料はチーズ、卵、小麦粉、砂糖、牛乳、バターのみ、店内で毎日焼き上げているチーズケーキは新鮮そのもの。まずは焼きたてのほかほかを半分食べて、残りは冷やして食べるのがおすすめです。ケーキ好きの人はもちろん、甘いものは苦手な人もきっとファンになる「Uncle
Tetsu's」のチーズケーキ、是非一度おためしを。
135 W 41st St, New
York, NY 10036
火~日 11:00~19:00 月曜定休
チーズケーキ(ホールのみ)$13.50
*ちなみに「Uncle Tetsu's」NY店はYTデザインが設計・施工管理を行いました😊
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