(続々)アメリカ大統領選大予想「仁義なき戦い」

 
Photo:Cristóbal Herrera / EPA


114日いよいよ選挙戦の火ぶたが切って落とされた!」
「おや、今年の大統領選は113日のはずだけれど…」
「いやいや、本当の戦いは投票日のあとだ!」

こんなおかしな会話が今年は現実味を帯びてきそうです。投票日までまだ2週間以上ありますが、今年は全米で既に600万人以上の有権者が期日前投票を済ませたといわれています。(それ以上の有権者が何らかの形で投票済との情報もあります。)前回の大統領選に比べると数十倍の数字となっており、その多くは民主党有権者票とみられています。そんな中、コロナウイルスに感染したトランプ大統領は、主治医の「大統領が他人に感染させるリスクはなくなった。」との声明を受けて、1010日にはホワイトハウスに自らの支持者を数百人集め、バルコニーから演説をして、事実上の選挙運動を再開しました。その後12日にフロリダ州、13日ペンシルバニア州、14日はアイオワ州で密集での選挙集会を行い、週末返上で投票日まで連日遊説する意気込みです。

全米の世論調査では民主党のバイデン候補に対して劣勢が伝えられているトランプ大統領ですが、コロナ感染後の後遺症発症の不安を抱えつつ、劣勢挽回、再選に向けて、あと2週間余りの「最後のお願い」に意欲をみせています。そんな大統領ですが、選挙で何が起こってもあと4年間はホワイトハウスに居座るための布石を打っているともいわれています。忘れてならないのは、113日の大統領選後、2021120日正午まではトランプ氏が現職の大統領だという事実です。この間はトランプ氏が職務を遂行できる限り、大統領の権限と権力は彼にしかありません。大統領令を出すことも国家非常事態宣言を発することもFBIを動かすことも現職大統領として実行出来るのです。

先週も触れましたが、今年は例年になく郵便投票が多くなることが予想されるため、開票に時間がかかることに加え、投票用紙の記載ミスや用紙の着信遅れなどからいわゆる「無効票」が多数出ることも予想されます。また、トランプ陣営や極右の支持者たちが少数民族有権者への投票妨害工作を行うのではないかという情報もあります。いずれにしろ、特に両候補の得票が僅差の州の投票結果には、投票用紙の再集計が要請されたり法廷闘争に持ち込まれることが予想されています。

法廷闘争に持ち込まれた場合は、連邦最高裁で選挙の正当性が争われる可能性が高く、現在上院で公聴会が行われているバレット判事の承認が、指名をしたトランプ候補寄りの判決を生み出すのではないかとの懸念がもたれています。ある特定の接戦州でトランプ氏の敗戦が濃厚となっても、恐らくトランプ陣営は投開票に不正があったと主張し、訴訟を起こすのは必至とみられています。投票日からのトランプ陣営の攪乱工作にワシントンでは警戒感を高めているとのことです。

113日の投票日の後、郵便投票や不在者投票の開票が進みますが、正式に次期大統領が決まるまでには、投票結果に基づき12月の第2水曜日の後の最初の月曜日(今年は1214日)に選挙人が州都で投票、州知事が選挙人認定証書に署名し、その結果を議会が20211月初め(来年は16日)上下両院合同本会議で開票、承認という手続きが踏まれます。

今年から来年初にかけてのこの正式決定までに様々な紆余曲折が考えられますが、もし特定州の決定が遅れたり、決着がつかない場合、両候補とも過半数の270人の選挙人を獲得できないこともあり得ます。この場合憲法修正12条の規定により下院がある投票方法により大統領を選任することになります。

この後は次週お話ししましょう。(次号へ続く)

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